1日経って・・・

喜びをかみしめています。


1日経った今でも、優勝決定の瞬間を思い出すと涙が出てきそうになります。ほんと、心底うれしかったのです。


「名人」を取ったのは一応これで3回目にはなるのですが、過去の名人戦は、世界選手権の日本代表にはなれない、そして優勝六段ということもあってか、やはり世間の目としては全日本選手権と比較して重要度の低いもの、という感じがあったんですよね。
そんな中でも、1997年に滝沢名人を倒して名人位を奪取した時にはそれはそれはうれしかったのですが、今回のうれしさはそれとは全く質も大きさも異なります。


今まで何度も何度も悔しい思いをしてきたのを思い出します。また、昨日の決勝の前にも思い出しちゃってました。


初めて名人に挑戦したのが1990年。名人戦・全日本共に二連覇中の為則九段にかなうわけもなく、いいところなく三連敗。これはあまりにも格が違い過ぎて、くやしさとはまた違う気持ちでしたね。


次に名人に挑戦したのが1994年。末國九段(当時は四段?)を相手に1勝1敗1分で迎えた最終戦、優勢のままあと十数手というところで逆転負け。くやし泣きをしたのはこの時が初めて。


1998年全日本選手権決勝、相手は師匠である村上九段(当時は七段?)。これもかなりの優勢局面からまさかの逆転負け。家へ帰って猛烈にくやし泣き。


2000年全日本選手権決勝、相手は坂口九段(当時は七段?)。これもあと十数手で優勝というところまで行くものの、やはり(?)逆転負け。


そこら辺の月例大会ならば超一流と言われるトッププレイヤ相手にも互角の対戦成績を残せてはいるものの、大舞台になると全然歯が立たないという勝負弱さを持っているんですね、私は。重要な試合で勝てないというのはやはり自分が弱いということで、だから9年も昇段できずにいたわけです。


そんな思いの中、突如としてチャンスが訪れました。あと一つ勝てば七段昇段、そして世界選手権出場です。しかし無類の勝負弱さを持つ自分を、自分が一番良くわかっているわけですから、決勝前はもう、おろおろおろおろしてしまったわけです。


しかし上に書いたような悔しい経験が、力になっていたんですねぇ。不思議と試合中は落ち着いて集中できてました。今思い出すと、あの40分間、盤面以外は視界に無く、頭の中もずーっとその盤面にのみ集中することが出来てました。


管生五段が39手目を考えている時、39 g4と来てくれれば40 g2の対角線通し、左側でやり取りがあった後黒h2と来られるが、それに対して白h6で勝てる、と案外あっさり見えました。実際40 g2の着手はほぼノータイムではなかったかと思います。


決勝の棋譜:
d3c5f6f5e6e3c3f3c4b4b3d6c7c2d2d7f7c6c8d8f4g3e7b8a4e1d1e2f1c1
b1f2g1b5a6e8g5a5g4g2b7a8a7b6a3b2h2h6g6h7h5h3h8h4g7h1a1a2f8g8


50 h7を打った時、100%勝利を確信しました。しかし60手目を打ち終えて時計を止めるまでは勝ちは決まりません。いっぱいいっぱいの気持ちをなんとか押さえ、残りの手を打ち続けます。そして60手目を打ち、時計を押し、時間が止まったことを確認。そして気が付けば、あふれ出る涙。棋譜係を担当してくださった村上九段が席を立ち、私の背後に回り、「やったね」と声をかけてくださっても、私はまともに返事もできず。


今回の優勝は、みなさまに勝たせて頂いたものと思っています。「そろそろ中島に勝たせてやってもいいだろう」という空気を作って頂けたからこそ勝てたものだと思っています。


世界選手権でも「中島に世界で勝たせてやってもいいだろう」という空気を作って頂けるよう、これからも精進します。


応援して下さった方、決勝を観戦して下さった方、品川の大会でいつも相手をしてくれる皆様、決勝で一生忘れることのないであろう対戦をしてくれた管生五段、そして毎年素晴らしい大会を開催して下さっている日本オセロ連盟に、心から感謝申し上げます。

「1日経って・・・」への7件のフィードバック

  1. 優勝、おめでとうございます。
    一緒に優勝したかった・・・非常に残念。
    今後の活躍にも期待しちゃいますからね、e(‘ -‘*)9 ふぁいとっ

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  2. ・)/おめでとうございます。
    ・)/ぼくもなかじさんといっしょにせかいせんにでれるようがんばります

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  3. おめでとうございます(*μ_μ)
    名人戦に参加することすら悩んでたけど
    最後に熱い戦いを観戦できて感動したし
    本当に参加してよかったと思えることができました。
    私ももう少し頑張ってみようと思います。

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  4. こんちゃ、佐りんです。
    ( ̄ー+ ̄)/♪
    えっと、えっと・・・
    なかじさん、優勝おめでとうございます!!!
    いつも大会で会っていて、あまりにも身近なので
    ついつい忘れてました。なかじさんはやっぱり、
    ものすごい人だったんですよね!改めて尊敬
    しちゃいましたナリ。
    自分も今回、人生最高の大金星をあげることができました。
    コブラが無かったら絶対にありえませんでした。
    本当に本当に感謝してます!
    なかじさん、ぜひ世界一になって、
    さらに感動させてください!
    ( ̄ー+ ̄)/♪

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  5. 優勝おめでとうございます!
    隠れ中島ファンの僕としてもうれしいかぎりっす!w
    一回戦を終わった時には、なんか練習不足だから自信ない・・みたいな事をおっしゃっていましたが、なんだかんだで優勝しちゃうところがさすがですね!
    これからは品川シーサイドも臨海も、常に名人が出場することになると思うので、僕も打倒名人をめざして頑張りたいと思います!
    その時はまたよろしくお願いします。

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  6. みなさん、どうもありがとうございます!
    ほんとーーに、優勝できるなんて微塵も思ってなかったんですよ。
    でもほんと、「実戦に勝る練習はない」ってやつですかね。

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  7. 棋譜を並べると、b4狙いの上辺取らせが成功して白がポイントを挙げたと思います。その時点で、悪形ながらも下辺に白余裕手が残っていたのが大きかったですね。ただ、上辺を取らせて34手目白b4と打った後、もし黒a5と来られたらどうだったでしょうか。また36手目e8のあと、37でf8につけてとらせたあとf5だと、次白がa5と割り込んだときにa3に切りかえしてなおb6が黒の余裕手としてのこるので、なんとなく不気味な感じです。で、その後b2に白が攻めて黒がa1をとり、白がa2に割り込んだ後、黒b6と打ってb列が黒くなり、将来的にg7の通しを狙われると不気味だと思いました。実際のところ、34手目前後の折衝で大分白が得をし、そのまま逃げ切ってしまった一局だと思いました。

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