2005年後半から2006年前半にかけ、とっても重要なことに気付きました。自分は他の高段者に比べて、猛烈に終盤力が劣る、ということです。
2005年の後半に、DoCoMoの携帯でできる詰めオセロアプリ「終盤COBRA」というものを作りました。当然終盤の詰めオセロ問題をたくさん用意する必要があるわけで、実はこれが自分の棋力アップに思いっきり貢献したのでした。
問題の作り方は、対戦COBRA(DoCoMoの携帯でできる対戦アプリ)で実際に行われた対局から、ある条件で棋譜を引っ張り出して、それら全てを実際に自分で解いてみます。「ある条件」で引っ張り出すと、問題としてつまらなすぎる局面も含まれるので、とりあえず自分の目で見てチェックするわけですね。この時、ものによっては難しい局面も出てくるわけです。中にはいくら考えても勝ち筋の見えてこない局面もありまして。ただそういう局面、村上九段や末国九段に見せると、ちょっと見ただけで答えを出したりしちゃうんですよ。自分がいくら考えても見えない手が、彼らには「形」として既に備わっている。いやぁ、ショックでした、ほんと。実は恥ずかしながら、この時までこういう明らかな差があるってことがわかってなかったんですね。
その後特に必死で終盤トレーニングをしたというわけではないのですが、終盤COBRAの問題作りのためにいろんな局面に接して、自然と終盤力がアップしていきました。ちょっとだけですが、終盤に自信もついてきました。
まぁ何にしても、高段者と自分の間には「大きな差がある」ことに気付けたのは大きな収穫でした。
そして春の名人戦。相変わらず大会に向けて何か特別なことをしてたわけでもなかったので、優勝するとかしないとか、そんなことは全く意識しないで大会に臨みました。
なのですが、、、するするっと決勝まで行ってしまったんですね。名人戦は96年と97年に優勝してはいますが、当時は世界選手権日本代表選考大会ではなかったわけで、やっぱり違うわけですよ。今度はあと1つ勝てば世界戦に出られるわけですからね。
この辺の話は過去のブログにも書いたのでさらっと流しときますが、おろおろおろおろしつつも、決勝に勝って優勝することができたんですね。今でもあの時の気持ちは覚えていますけど、ほんっとーにうれしかった。全国規模の大会での優勝は、97年以来8年ぶりですから。そして9年ぶりの昇段ですから。
優勝が決まった瞬間本気で泣き出した人なんて過去に誰もいないと思いますが、あの時はほんと、どーしよーもなかった。その姿が隣の部屋のスクリーンに映し出されてることなんか全然頭になかったし。(汗
そして更に夏の全日本選手権。既に代表権は持っているし、気楽な感じで臨んだのですが、これもするするするっと決勝まで行っちゃったんですね。しかも決勝の相手は名前も知らなかった今岡四段(当時)。それまで気楽だったのが、とたんに大きなプレッシャーですよ。「これは負けらんねぇ」と。
試合内容は終盤へろへろしてしまってえばれたもんじゃぁなかったのですが、なんとか勝てました。実は全日本選手権優勝は初めてで、相当うれしかったはずなんですが、名人戦優勝のうれしさがあまりにも大きかったため、今回はうれし泣きとはなりませんでしたね。
二冠を持って臨んだ世界選手権、良い意味でも悪い意味でも実力通りの結果でした。為則九段・Ben Seeley・末国九段の3強がいて、その下に自分、そして各国の選手。3強がいる中で上位4位に入って準決勝に駒を進めるってのはとってもきついことでしたが、一応準決勝進出は果たせました。3日目の決勝トーナメントは、まさしく自分の弱さが出ちゃいましたね。
2004年にオセロ界に復帰して3年弱、この2006年は本当に出来すぎな結果でした。日頃大会を開いたりしてることへの神からの御褒美だったのかしら。大会を開催してるのは自分が「楽しい」からなんで、特にご褒美なんてなくていいんですけどね。でももちろん、こういうご褒美は拒みませんので、できれば毎年欲しいですね。