運良く優勝できた王座戦、一応全ての試合を振り返ってみます。
■1回戦 倉地四段 30-34 中島
序盤で築いた優勢を、終盤まで維持して逃げ切り勝ち。
■2回戦 中島 43-21 栗田初段
この栗田君は小学生なんですが、30手目まで引分進行をほぼ
ノータイムで打ってきまして、とっても冷や冷やしました。
しかしその後1手緩い手を打ってもらい、無事勝利。
■3回戦 鵜野三段 23-41 中島
白の私がd8と打ったところ:
++●+○○++
++○○○●++
○○○○○●●●
○○○○○○●●
+○○○○●●●
+○○○●●++
○+○○●+++
+++○++++
次黒番
私が序盤の受けを間違ってずーっと苦しい感じでここまで来ました。
黒は左上をうまくさばいてb2に打ち、ホワイトライン通しで
おどして勝利、となる形。
ここで鵜野三段が打ったa6が敗着となり、逆転勝利。
37手目以降:
a6a5e8f8b1g6c8b8g7g1f7d1h1g2b2h2b7g8h6a8h8h7a1a2
■4回戦 中島 40-24 松本五段
32手目まででこんな局面:
+++○○○○+
++○○●○++
++○○○●●●
+○○○●○●●
++○○●●●●
++○○●●●●
++++●+++
+++●+○++
次黒番
一感は●c1→○b1→●d7なんですが、それに対して○g2と受けられ、
黒が左側をやぶって行く展開に自信が持てず・・・
ここで●b6と、思い切ってみました。
ゼブラ的には悪手なんですが、結果的にこの手が松本五段の読みを
狂わせたようで、この後徐々に黒が良くなっていったのでした。
33手目以降:
d7c8c7b5a5a6a7a3g7g2e8f7a4a8h1h2g8h8h7b8b7b3b2a1a2c1b1
■5回戦 高梨四段 25-39 中島
高梨四段には、ここのところよくいじめられています。
そんなこともあり、最近の私には珍しく、高梨四段と当たったら
これを打とう、と一応準備していた序盤がありました。
幅広い暗記量を持つ高梨四段ですから、それでもノータイムで付いて
くるかと思いきや、長考を始めました。
一応奇襲は成功した形になります。
中盤でだいぶ優勢を築いたつもりになっていたのですが、実はさほど
でもなかった。41手目までで以下の局面:
++++●+++
+++●●○+○
●●●○●○○○
○○○○●○○+
○○○●●○○+
●●○●●●○○
++●○●●●+
++●●●●●+
次白番
かなり難しい勝負になってますよね。
時間が十分残っていたおかげで、ここで○c1→●d1→○b2と正着を
打つことができ、なんとか逃げ切り勝利。
42手目以降:
c1d1b2h5f1c2g2a1h4a2b1g1h1b7a8a7h8h7b8
■6回戦 中島 34-30 土田(英)五段
白の早期X打ちにより、ゼブラ的にはやや黒優勢でスタート。
しかしこういうのは正確に打つのが難しく、徐々に形勢を崩し、
終盤の入口では以下の必敗局面:
+○○○○○○+
+○○○●○++
●●○●○○++
●●●○○○++
●●●●○○●+
●●●●○○●●
●++●●●++
++++●+++
次白番
もう、いろんな負け筋が見えてまして、今年はここで終わったか・・・
と思ってました。実際白+10の局面のようです。
しかしここから白の土田五段、4石損、2石損、4石損、2石損と、
4連発で形勢逆転! その後もう一手白に2石損があり、なんと
終わってみれば黒の4石勝ち!
40手目以降:
h4h5g4h3f8g3g2g8d8c8c7b8b7a2a1a8h2h1h7h8g7
■7回戦 坂口九段 35-29 中島
序盤の白の変化に対し、黒の坂口九段も変化で対応。
左辺のさばきでやや黒優勢になった感じだったが、
以下の局面でほぼ互角。
+++○++++
●+●○++++
●●●●●●●+
●○●○●○○+
●●○●○●++
+○●○●●●+
○+○○○+++
+++++○++
次白番
ここで白の私が敗着。一感は○e2だったのだが、以降
●f1→○e1→●c1 といった展開になって○a6のアクセスを
失うことになってはまずいと、これを切り捨ててしまった。
それで○c1と行ったのだが、これは左辺の双方C打ちと合わせて
とってもまずい形になった。黒は●b2としてから、タイミングを
見て左辺を捨てることでb1に1個空きが作れる。白はそれを嫌う
には自ら左辺を捨てるしかなくなってしまい、それでは足りない。
32手目以降:
c1b2f2e1e2f1h3g2g5h5h7h6h4h2h1g1a6a8b7b8g7c8f7e8d8g8h8b1a1
* * *
こんな感じでした。
客観的に自分のゲームを見てみて、いまいち強さは感じないのですが、
やはり数年前と比べて、終盤が安定してる気はします。
以前の自分なら、たぶん5回戦は逆転負けしたろうし、6回戦では
逆転できてなかったと思います。
でも何よりも感じるのは、ここ2年の運の良さですね。
たらればを言ってもしょーがないと言えばしょーがないわけですが、
最終戦、土田(英)五段が長島四段に勝っていれば、または久納三段が
村上九段に勝っていれば、私の優勝はなかったわけです。
そもそもメジャー大会で、最終戦で負けて優勝なんて、今まであった
のかしら?
・・・あ、ありましたね。昔の名人戦は名人と挑戦者の四番勝負でしたから、
最後負けて優勝ってのはありでした。そうそう、自分自身、やったことが
ありました。汗
* * *
今年の王座戦で意識してやったことは、途中経過を見ない、ということです。
自分のポイント状況がどーだとか、そんな細かいことを考えない。
全勝出来れば優勝、1敗したら優勝できなくてしょーがない、と。
例えばポイントを大きく稼いでいたとして、「小さくなら負けても優勝だ」と
いうのがわかったとしても、それってたいして有利になることはないと
思うんですよね。むしろその変な邪念が手を狂わすリスクの方が大きい。
だから最終戦で坂口九段に完敗した時、「終わった」と思ったのでした。
実際大きく石を稼いだゲームはなかったし、全勝者が最終戦1敗者に
負けた場合って、大抵3位とか4位になっちゃうものですしね。
なのに・・・
やさぐれたばこを終えて会場に戻ると、小出専務理事が、うっすら笑みを
浮かべて私を見てるんです。そして「おめでとう」と。
ほんっと、信じられませんでした。
負けた瞬間に「終わった」と思ってたこともあって、その驚き・喜びは
言葉では表せないほど大きかったです。
* * *
こんな感じで運よく優勝させてもらえた王座戦でしたが、世界戦でも
こんな幸運が訪れるとは思っていません。
あと2ヶ月しかありませんが、幸運が訪れなくとも少しでも良い成績が
残せるよう、しっかりと実力アップのためのトレーニングを積みたいと
思っています。